シュークリームに打ちのめされたい
シュークリーム。
トロトロふわふわクリーミーなあなた。
天使のほっぺのような柔らかさでわたしを包む。満たす。
嗚呼、シュークリーム。
溢れんばかりのクリームをすする、恍惚の瞬間。
甘く優しいひととき。
幸福感のなかによぎる、腑に落ちぬ何か。
歯ごたえがあるのかないのかいまいち不明な皮と、
バニラビーンズが入っていたりいなかったりするカスタード。
そして時たま顔をのぞかせるホイップクリーム。
掴みどころがないのだ。シュークリームの美味しさというのは。
輪郭をとらえられず、指の間からこぼれ落ち、空を掴むような。
薄ぼんやりとしているのだ。心震わされないのだ。
コージーコーナーとコンビニの跋扈する駅前で
こんなにも身近な存在になった今、
手軽さと引き換えにあなたは何を失った?
次は、次こそは。
そのやわなボディでわたしを撃ち抜いてくれ。打ちのめしてくれ。
硬派な想いはいつも肩透かし、
わたしは今日もクリームの中に沈んでいく。