ラッピング下手な店員さん

昨日、帰りに寄り道をして幼馴染の誕生日プレゼントを選んでいたんです。めぼしいものを見つけたのでお会計をしようと思ったら、レジカウンターには20代とおぼしき若い男性の店員さんがひとり。先客のラッピングをしています。

最初はこう思いました。とても丁寧に包んでいるなと。でもどこか手元がおぼつかない。なんとなく漂う不穏な空気。包む。超ゆっくり。でも包めてない。やり直す。包めてない。テープで止める。え、そこ止めちゃうの!?わたしの予感は確信に変わりました。

(下手だ...!)

 時刻、19時15分。

実は、20時から21時の間でわたしは宅急便の再配達を依頼していました。現在地から自宅までの所要時間は約30分。早々に買い物を終え一刻も早く帰宅したい。わたしの確信はイライラに変わり始めました。

彼は今の包装紙で包むことをあきらめ、ひと回り大きな包装紙を取り出しました。(さすがに大きすぎるでしょ)箱の周りを覆ってみたのち、包装紙の両端を折る。(そうくる...?)おもむろにカッターを入れる。(切るんかい!)使い方も危なっかしい。切り口ギザギザ!そしてそのギザギザの紙で箱を包もうとする店員さん。(いやいやいや!ギザギザやめて~!)

たまらなくなり、思わずカウンターに詰め寄るわたし。こちとらラッピング経験があるわけではない。けれどもどさすがにあなたよりは上手くやれるはず。

ちょっくら包ませてくれと直談判、わたしのものでもない先客の贈り物のラッピングにチャレンジすることに。一回、二回、包装紙を畳んで箱を回していく。あれ...?思ったようにいかないぞ...?「ここをこう折り込んで」「でもそうするとこっちがダメだ」店員さんと試行錯誤。いつしか先客のおばさまも加勢し、三人の共同作業に。なんか不思議な連帯感を感じるぞ。「包装紙じゃなくて、袋とかないんですか?」「そうそう」「袋?ありますよ」と持ち帰り用の紙袋を見せる店員さん。天然ちゃん?「そうじゃなくて」シンクロするわたしたちの声。「袋に入れて、止めれば終わりみたいなの」「あー、ないっすね」「ないかあ...」ということでおばさまもリベンジ、チャレンジ。結果、残念無念。結局彼女は箱に直にリボンだけかけて帰って行きました。

さあ残るはわたしの分。

再配達の時間が刻一刻と迫っている。もう1枚包装紙をくださいとお願いし、ダメ押しの再チャレンジ。最後の仕上げで行き詰ったとき、「ここの角をこう折るとキマるんですよ」と店員さん。(知識だけはあるのね)という台詞が喉まで出かかったがぐっとこらえ、なんとか形に。「できた...」二人で達成感に包まれました。

時刻、19時45分。

 

***

 

帰宅、20時15分。

根拠のない自信で楽観したのもつかの間、ポストに怪しく光る白い影あり。

 

不 在 票

 

負けた...間に合わんかった...

配達時刻、20時01分。

一分!一分って!20時~21時の指定なのに!一時間もあるのに!よりによって!一分!

 

再配達との戦いには敗れましたが、一つ新しく気づいたことがあります。それは「ラッピングとは技術」だということ。未だかつて、こんなにラッピング下手な店員さんに出会ったことなんてなかった。贈り物を買うとき、ほとんどの店員さんは難なく完璧に美しい包装を仕上げてくれるんですもの。無意識のうちに、それらは自動的に提供される無償サービスだと当然視していたのだと思います。あなたよりは上手くやれるはずと、高を括っていた自分が恥ずかしくなりました。

そして何より、大事な友人に渡すプレゼントを試行錯誤して自分の手で包んだことで、その贈り物がさらに特別なものになった気がします。

店員さんよ、新鮮な体験をありがとう。だけどラッピングの練習はしたほうがいいと思うよっ☆(ゝω・)vキャピ

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