ラッピング下手な店員さん

昨日、帰りに寄り道をして幼馴染の誕生日プレゼントを選んでいたんです。めぼしいものを見つけたのでお会計をしようと思ったら、レジカウンターには20代とおぼしき若い男性の店員さんがひとり。先客のラッピングをしています。

最初はこう思いました。とても丁寧に包んでいるなと。でもどこか手元がおぼつかない。なんとなく漂う不穏な空気。包む。超ゆっくり。でも包めてない。やり直す。包めてない。テープで止める。え、そこ止めちゃうの!?わたしの予感は確信に変わりました。

(下手だ...!)

続きを読む

おせっかいおばちゃん化計画

道ばたに落とし物を見つけたとき、駅できょろきょろしている人を見つけたとき、気になりつつも素通りしてしまうことがあります。車内でお年寄りに席を譲ったりするのはさっと動ける方だと思う。でも通勤退勤の人の波に乗ってしまうと、「あ」と思いながらもただ通り過ぎてしまうだけの日々が続く。

そういうときはきまって、心にもやっとしたものが引っかかる。そして何度目かわからない見て見ぬふりのあと、わたしの中で何かがはじけた。

続きを読む

ALL REVIEWS×100分de名著イベントレポート「書評家たちに学ぶ『名著深読み術』」第1回(1/25) 鴻巣友季子 × 鹿島茂

ALL REVIEWSのサポートスタッフになり早数ヶ月。鹿島茂先生・鴻巣友季子さん登壇のNHK 100分de名著とのコラボイベントでレポートを書くという機会をいただきました。お慕いしている鹿島先生のお話をわたしの言葉で世間のみなさまにお届けできる日が来るなんて!願ったり叶ったり!募集がかかった瞬間にわたしは二つ返事で志願しました。

が。

超・超・超・つらかった。途中何度心が折れかけたことか。

続きを読む

2019年のリーディングチャレンジ

ブログを書くのもだいぶ久しぶりになってしまいました。

本のことを調べていたらこちらの記事を見つけまして、リーディングチャレンジというものを知りました。書評サイト「ALL REVIEWS」友の会でシェアしてみたところ、早速チャレンジ表明してくださったメンバーが。ここぞとばかりにわたしもやってみることにしました!

続きを読む

みんな違って、みんないい

 突然ですが、わたし、仕事中のお昼休みは職場のそばの日本庭園で過ごすことが多いんです。コンクリートに囲まれて空調ガンガン効いた空間が苦手なので、束の間のエスケープということで都会のオアシスに癒されに行くのです。

 先日、いつものように庭園のベンチでお弁当を食べていたとき、ふと足元が気になって地面に目をやりました。すると、わたしの中指くらいもある青虫がアクロバティックに動いていらっしゃるではありませんか。おったまげ!これまでそんな大きな青虫なんて見たことなかったし、そもそも虫とかあまり得意ではないし、こいつはなかなかきm...と思いかけたのですが。

続きを読む

シュークリームに打ちのめされたい

シュークリーム。

トロトロふわふわクリーミーなあなた。

天使のほっぺのような柔らかさでわたしを包む。満たす。

 

嗚呼、シュークリーム。

溢れんばかりのクリームをすする、恍惚の瞬間。

甘く優しいひととき。

 

幸福感のなかによぎる、腑に落ちぬ何か。

 

続きを読む

シンクロニシティ?

f:id:ri2i7:20180624210131j:plain

 先月、『レインコートを着た犬』をという本を図書館で借りて読みはじめました。本好き界隈ではお馴染み、クラフト・エヴィング商會として活動する吉田篤弘さんの著作です。この本では一匹の犬の目線を通じてとある町の人々の人間模様が綴られていきます。犬の名はジャンゴ。だけど、ある登場人物からだけ「アンゴ」と呼ばれている――そんなくだりに、そういえばと思ったら、一緒に借りたのは坂口安吾だった。特に意図した訳でもなく、何の気なしに借りたのに。こういうのがシンクロニシティってやつかしらん、と思ったりしたのです。

 その週末、起き抜けに『レインコートを着た犬』の続きを読み始めました。キウイとバナナの入ったヨーグルトを食べながら。あれ、この組み合わせどこかで見たぞと思ったら、表紙と同じ色彩ではないですか!鮮やかな黄緑とクリーム色のツートーン。またしてもシンクロニシティ。この本には色々な偶然が起きるなあ。

 そして今月、安吾の近くの棚にあった武者小路実篤氏の『人生論・愛について』を読み始めました。恋愛についての頁にこんな文章がありました。

「人生にもし恋愛がなかったら、人生は今よりずっと無味乾燥になり文学、美術の世界はずっと貧弱なものになるであろう。

 恋愛は人生の詩である。花である。喜びであり、美である。

 我等は小説の人物の恋の為に好んで涙をながすものであり、一緒になって心配し、又喜ぶものである。ダンテにとってのビアトリーチェはダンテを神の世界に導く力を持っていた。真の恋にはそういう力があるのだ。」

 文章の美しさを噛みしめるよりも先に、ダンテの三文字が飛び込んできただけでドキドキした。一緒に借りたのが『神曲』だったから。またしてもシンクロニシティ

***

 こういうことが続くと、偶然なのか必然なのか、そもそも偶然とは一体何ぞや?とか、考えてしまう。

 今年の春、地方にいる友人から久々に連絡がありお互い仕事のことで同じように悩んでいることがわかったとき。二年前の秋、わたしが今の家に引っ越してきて、近所のライブハウスに足を運んでみたら、何年も前に神奈川の山奥の小さなヒッピー系フェスで出会った子が出演者のひとりとしてステージに立っていたとき。

  宇宙の引力というか、なるべくしてなってるのかな、と思わされるのよね。

 だって、たまたま役所に転居届を出すのに午前半休をもらっていて、たまたまその帰りに電車の中でTwitterを見ていたら、たまたまフォローしているDJの方がライブ情報をリツイートしていて、たまたまその会場がわたしの家の近くで、たまたま仕事も早く上がれたから無事ライブに行けて...と、数あるたまたまのどれかひとつでも欠けていたら起こりえなかったことだと思うと、これはもう偶然では片づけられない、何か素晴らしいことが起きているぞ、と。

 もしかしたら、なんの因果もないのかもしれない。なんの意味もないのかもしれない。それでも、偶然が重なったというその事実だけでどこか奇跡的だとわたしは思うし、そこに何か意味を見出したくなってしまう。事実は小説よりも奇なり。

 

レインコートを着た犬 (中公文庫)

レインコートを着た犬 (中公文庫)

 

 

 

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (岩波文庫)

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (岩波文庫)

 

 

 

人生論・愛について (新潮文庫)

人生論・愛について (新潮文庫)